筆者の思う所

ムツミグローバルフーズネットワーク、フードリンケージ弁護士一任で事業停止。筆者はムツミグローバルフーズネットワークの元関係者です。思う所を書いていきます。

機内食

ムツミグローバルフーズネットワーク   新型コロナ関連倒産 千葉県八街市

https://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4766.html

https://www.traicy.com/posts/20210212198742/

私がもともと関係していた会社である、ムツミグローバルフーズネットワークが事業停止との報道が出ました。

とても残念です。

この会社の人々にはとても良くしていただいたので、このような結末が予見できたとはいえ、避けられなかったのかと悔いが残ります。

今後の自分への忘備録として書いていきたいと思います。

ただ、書いてある内容を最近のムツミグローバルフーズネットワークの従業員だった方が見れば、私が誰かわかると思うのでぜひ連絡をして欲しいですね。これで今、私から連絡をする手段が無くなってしまったので。

ムツミグローバルフーズネットワーク

この会社は、本社は東京都中央区勝どきの「THE TOKYO TOWERS MID TOWER」の19階の1室を本社として、また八街の元は飲食店であった建物を改装して作った食品加工場を千葉の拠点とした会社です。

ムツミグローバルフーズネットワーク 所在地

ムツミグローバルフーズネットワーク本社↓

ムツミグローバルフーズネットワーク千葉プロセスセンター↓

ムツミグローバルフーズネットワーク 事業内容

基本的な流れとしては、魚介類に関しては深夜に豊洲市場に魚介類を引き取りに行き、朝方千葉の工場に持っていき、それを加工したものを成田空港や羽田空港の機内食企業に届ける、また飲食店などに売るという仕事が一つ。

また、シンガポールにも拠点(別会社)が有り、豊洲で仕入れた魚を梱包して空港に搬入し、空輸で輸出もしておりました。なので、この場合は朝一番に豊洲にある生魚を仕入れその場所で梱包をして輸出の準備をし、昼前には空港に搬入をして夜の空輸の便に乗せ、翌朝にはシンガポールに有るという事で、個人的に「これは凄いな」今後、このスピード感を高めればもっと売り上げを伸ばせるなと思っておりました。また、冷凍品に関しては、船便も使用しておりました。

また、これ以外にも本社主導で生肉などの輸出も行っており、これは本社が主導して日本通運などを使い船便や空輸でシンガポールに輸出をしていたりしました。

この流れでわかる通りに、

  1. 機内食下請け
  2. シンガポールへの輸出
  3. スーパーや飲食店への販売

という内容が主な業務内容です。

ムツミグローバルフーズネットワーク 右肩上がりだった頃

その中でも報道に有る通りに、現在は機内食事業を中心に行っておりました。ちょうど1年前位の2020年の2月までは、コロナの影響もあまりなく旧正月による中国人インバウンド需要や、そのほかの外国人旅行客のおかげで、観光で来日をされた方は必ず自分の国へ帰ります。その為、航空機需要が高く、その中で機内食需要も高く、工場で働いている従業員は目が回るような忙しさでした。

特に大変だったのが、2019年9月に千葉を襲った台風の影響です。

八街周辺は1週間ほど停電が続き、その中で事前に受けた機内食の下請けの注文をこなさなければいけなかったので大変でした。冷凍庫はどんどん室温が上がってしまうので、冷凍品は停電していない地区の業者に計画より早めの納品させていただいてロスを極力抑えたり、昔の注文品で賞味期限が近いものは見切りをつけ、まだ保存したい商品や高価なものは冷凍トラックを借りたり、別の冷凍庫を借りて何とかしのいだりしました。

この時の、判断した方は大変であったと思います。

ただ、事業が好調であったという事も有って、お給料も相場より高く従業員もやる気に満ちていた時代ではあったと思います。

売上高は2011年6月期が4.6億円、2012年6月期が6.7億円、2013年6月期が11.8億円、2014年6月期が20.5億円、2015年6月期が25.9億円、2016年6月期が32.8億円、2017年6月期が37.4億円と年々増加。東京商工リサーチによると、2020年6月期の売上高は51億9,298万円を計上していた

https://www.traicy.com/posts/20210212198742/

こんな感じでガンガンイケイケでしたよね。

ムツミグローバルフーズネットワーク 新型コロナ

それは突然でした。

2020年2月の下旬辺りから、注文のキャンセルが続きます。ムツミグローバルフーズネットワークは鮮魚系の仕入れは直前でしたので、仕入れ過多のようなことはあまり無かったかと思いますが、ただ注文のキャンセルが続きますと売り上げが上がらず、次の仕入れや給料の支払いの原資がどんどん枯渇していきます。

機内食下請けの売り上げが全体の売り上げに占める割合が大きい会社でしたので、飛行機需要の急減によって、まったく今までの売り上げが上がらない形になってしまいます。また、内部もなかなかごたごたしているので、立て直す人間もいなかった印象ですね。もっと、営業の人間を厚くしておけば良かったんじゃないかなと思います。

事業停止へ一直線

そこで、4月にはパートさんをほぼ全員自宅待機。と、従業員に自主退職をするよう促す方法を取ってきます。

ムツミグローバルフーズネットワークは、2020年4月までは従業員と雇用契約書を交わしておりませんでした。それなので、4月19日に従業員との雇用契約を結ぶという事になり、要約すると

  1. いままで年俸制で、いくら残業しても残業代込みだったのが、これからは基本給を決めてそれに残業代をプラスしていく形にする
  2. これからは月給制にしてお給料から、月給として年俸制時代の6割(4割減)にして、賞与は業績連動で出す形に。
  3. 残業はほぼゼロで賞与も出ないので、前年比年収に直すと半減になる。

このような提示を受けたらみなさんならどうでしょうか?

今の労働基準法だと「解雇」してしまうとなかなかその後の会社の戦略が狭まるのでやり辛いと思います。

まあ、コロナなので会社にだけの責任ではないでしょうけど、従業員にも生活が有りますので、幹部以外の人間はほぼ退職する形を選びましたね。

例えばここで、労働基準監督署に行ったり、弁護士に相談をして会社を相手に徹底抗戦をすることも一つの考えでしょう。ただ、コロナで先が見えないので会社を相手にしてもしょうがないと思うかと皆さん考えたんでしょうね。私の知る限りは、会社と強く話す人間はいなかったと思います。

その後は皆さんがわかる通り、コロナ禍がずーっと続いており、機内食事業は当分ダメでしょうし、急に他の所へ売り上げを上げるために営業をかけるといっても従業員が減っている中でそれも難しかったですよね。

私が考える問題点

途中でも書きましたが、営業の人間が少なすぎましたし、経営陣の判断が良くなかったとは思いますよね。2020年2月の時点で、最悪な形になれば現在の状況(航空需要がヤバい)になるかもしれないという事は予見できたので、機内食事業に早めに見切りをつけ、スーパーなどにガンガン営業をかけるべきだったと思います。あと、ネット販売ですよね。ただこれも、資金が無くなり人がいなくなりで、攻める事が出来なかったという事なのでしょうが。まあ、それでもあれほどの取引量の急減で有れば、どのみちこの状況になっていたかもしれません。

ただ、シンガポールにも関連会社が有るので、そこはどうなっているのかな?気になるところですね。

最後に ベトナム人技能実習生

私が知っている間は、ベトナム人技能実習生が5名ほど働いていました。コロナ禍なので、彼らが元気にどこかで暮らしている事を願っています。事業停止はしかたないですが、日本人より立場が弱い外国人の若者なので路頭に迷うという事が無いように自治体や実習生受け入れ団体が手を尽くしてほしいです。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/80629